どうも、ナースヒーロー 西 英雄です。
ご覧いただきありがとうございます。


今回は免疫系抗がん剤の 「キイトルーダ」についてのまとめていきます。


画像はキイトルーダの製品ページより引用させていただいております。
(→https://www.msdconnect.jp/products/keytruda/index.xhtml


キイトルーダと同じ免疫系抗がん剤といえば、
小野薬品工業の「オプジーボ」です。


オプジーボは2014年9月2発売され、
当時年間1人3500万円かかる超高額がん治療薬として話題になりました。


そんなオプジーボと同様の作用機序である、
「キイトルーダ」は2017年の2月にMSDから発売されました。


肺がんの治療薬としても非常に重要な薬剤であり、
呼吸器看護師の私としては避けて通る訳にはいきません(笑)


今回はそんなキイトルーダについて、
詳しくまとめていきたいと思います。

解説動画を作ってみました

今回の内容を大まかに動画で説明しています。


文章よりも理解が深まる部分もあると思いますので、
是非ご覧になって下さい。



※1.5倍速視聴推奨

キイトルーダとは?

【作用機序】

キイトルーダ®(ペンブロリズマブ)は、
「T細胞の免疫活性を負に調整するPD-1経路を阻害し抗腫瘍効果を示す」と考えられています。


PD-1は私たちの活性化T細胞上に発現し、
T細胞の免疫応答を負にコントロールする受容体です。


このPD-1にがん微小環境に発現するPD-L1やPD-L2が結合することで、
がん細胞はT細胞の活性化を制御し免疫監視機構から逃れることができます。


PD-1とPD−L1の結合により免疫機構であるT細胞が正常に働かず、
このままでは腫瘍が増殖し放題という状況になってしまいます。


そこでキイトルーダの出番です!!


キイトルーダは活性化T細胞上のPD-1に結合することにより、
がん細胞上のPD-L1やPD-L2との結合を阻害することができます。


その結果、がん細胞が狙っていた活性化T細胞の抑制を阻止します。


つまり免疫機構であるT細胞が、
正常通りにがん細胞を攻撃することが可能となるのです。

PD-1
免疫細胞である活性化T細胞上皮に発現し、免疫応答を負にコントロールする受容体

PD-L1、PD-L2
がん細胞の表面に発現するたんぱく質で、免疫細胞からの攻撃にブレーキをかける為にPD-1と結合する

【適応】

  • 根治切除不能な悪性黒色腫
  • PD-L1陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん

    【用法容量】

    〈根治不能な悪性黒色腫〉

  • 通常、成人にはペンブロリズマブ(遺伝子組み換え)として、1回2㎎/kg(体重)を3週間間隔で30分かけて点滴静注する。
  • 〈PD-L1陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん〉

  • 通常、成人にはペンブロリズマブ(遺伝子組み換え)として、1回200㎎を3週間間隔で30分かけて点滴静注する。

    副作用まとめ&キイトルーダの看護

    【アレルギー】



    過敏症は特別キイトルーダだからという訳ではありません


    看護師が患者さんに薬剤を投与する場合、
    常に頭に置いておかなければなりません。


    あえてキイトルーダに関して言えば、
    キイトルーダは1st lineで使用する薬剤です。


    つまり抗がん剤治療も初めて、
    当然キイトルーダも初めて使う。


    場合によっては病気をしたことも初めてで、
    入院も点滴も初めてという患者さんもいるくらいです。


    そんな患者さんが不安なく治療が行え、かつ
    これから抗がん剤治療に関する理解を深めていかなければならない。


    そこまで見通してというか深く考えると、


    一番最初の看護師の説明が、その人の今後の
    治療に対するイメージや理解度に大きく影響すると言いたいのです。


    アレルギーから少しズレましたが、


    症状が出た時の速やかな対応は当然として、
    安心安楽かつ正しい理解を支援できる看護を目標としたいですね。

    【IP】



    薬剤性の間質性肺炎は、他の抗がん剤でも注意が必要です。


    私の経験ですが、イレッサを飲んでいた患者さんがIPになってしまいました。


    重症化することもあり決して簡単な治療ではおさまりません。


    動画でもしゃべっていますが、
    治療の為の薬で別の病気になってしまう・・・


    呼吸器の看護師なら分かると思いますが、
    IPは本当に辛いものがあります。


    いろんな意味で、ですが。


    発症を防ぐことはできなくても、
    早期に発見して重症化を予防することはできるはずです。


    そしてそれは「看護師の観察」にかかっていると私は思います。


    なんとなく最近動くと息切れがするとか、
    本当に些細な変化レベルでの話です。


    もちろん医師も検査や診察でフォローしていますが、
    監視の目が多いに越したことはありません。


    呼吸音を聴く機会も、患者と話す機会も、
    絶対に看護師の方が多いはずです。


    そんな看護師だからこそできる事があるし、
    看護師にしかできない事もたくさんあります。


    そんな強い意志と使命感を持ち、
    日々勉強を怠らずそして働く。


    1人でもそんな熱苦しい看護師が増えてくれたら嬉しいです(笑)


    間質性肺炎に関しては、
    決して呼吸器病棟だけの問題ではありません。


    この機会に知識を再確認することをおススメします。

    【甲状腺機能障害、下垂体機能障害及び副腎機能障害】



    キイトルーダを使用する場合、
    定期的に甲状腺機能検査を行うことが推奨されています。


    TSH、遊離T3、遊離T4等のデータも、
    看護師としてチェックしていきましょう。


    採血データで言えば、


    肝機能低下も比較的起こり得るとのことなので、
    しっかりと確認していく必要があります。


    忙しい病棟業務に追われていては、
    意識しないとデータを見ない事も多いと思います。


    間違いなく私もそうでしたし、
    激務看護師の事情は分かります。


    正直データを見なくても仕事ができてしまう・・・


    それでも薬剤が変更になったり薬が追加になった時は、
    絶対に何か理由があります


    そんな時に「なぜ?」と立ち止まり、
    確認する一手間をおこたらない


    そんな看護師であり続けたいですね。

    【眼症状(ぶどう膜炎)】



    眼の異常や違和感の報告がありますので、
    そのような場合は眼科を受診できるよう介入していきましょう。


    こういった副作用に関しては、
    正直「知っているかどうか」です。


    知らなければ当然気にすることも無く、
    毎日の検温でも触れずにスルーです。


    患者さんからアクションを起こすという事も、
    実際はなかなか現実的ではありません。


    もともと白内障や老眼があれば尚更ですし、
    こんな時に看護師としての力量に差が出るのだと思います。


    つまり勉強しているかどうか。


    別に「副作用を当てろ」とか、
    そういう意味で言っているのではありません。


    私もそうですが眼の症状などはどうしても、
    優先順位として低く見てしまうと思うのです。


    命に直接影響が少ないから・・・


    ですがよくよく考えてみると、
    QOLとしてはどうでしょうか?


    自分に置き換えてみると、
    目が見えにくくなるのは絶対ツライですよね。


    それはある意味、血液データはめちゃめちゃ悪いけど、
    自覚症状が無い場合よりよっぽどツライです。


    そういう患者のQOLに視点を置いて検温できることが、
    「看護師の本来あるべき姿」なのではないかと思います。


    口で言うのは簡単ですし、
    私も全然できていないと思います。


    ですがまずは意識しなければ何も始まりませんし、
    口に出さなければできるようにもなりません


    こうやって自分の看護や立ち振る舞いを、
    たまに振り返るのも良いかもしれませんね。

    【皮膚症状】



    掻痒症、斑状丘疹状皮疹、発疹は、
    やはり比較的出現しやすい副作用の様です。


    他の抗がん剤でも、
    皮膚症状は注意が必要なものがあります。


    程度は異なりますが、皮膚症状といっても
    重症なものは本当にひどくなってしまいます。


    キイトルーダではありませんでしたが、


    首から肩、背中にかけてただれてしまうくらい
    重度な皮膚炎も診させてもらった経験があります。


    疼痛はさることながら、お風呂やシャワーにも入れず、
    仰向けになることすら激痛です。


    痛いし、横になれないし、夜は寝られないし、
    服も簡単に着替えられないし、他にも副作用は出るし、


    見ているこっちも本当につらいですが、
    当人にしか分からない辛さがあることは容易に想像できます。


    これに限らず、


    看護師として何もできない場面や状況もたくさんありますが、
    それでも私たちは患者さんと向き合っていかなければなりません。


    というか、向き合っていくことができる数少ない存在です。


    私はそんな気持ちを持ち続けていきます(笑)


    皮膚症状といっても軽視してはならず、
    細やかな観察と早めの対処が必要なのだとその時は学びました。

    【大腸炎、下痢】



    実際にキイトルーダを使っている医師も、
    大腸炎にはかなり注意を払っている様子でした。


    キイトルーダの消化器症状は、
    肺がん患者の方がやや多いというような報告もあります。


    下痢、発熱、悪心、食欲減退、疲労感などには、
    常に注意して観察する必要があります。


    この辺りは看護師も気付きやすいと思いますので、
    速やかに医師に報告して指示を仰いでいく事が出来ます。


    抗がん剤治療の有害事象には、
    程度に沿ったグレードがあります。


    「先生、下痢してます」


    という謎の報告だけで終わらないように、
    下痢の性状や量、間隔、回数などもしっかり観察しておきましょう。


    特に呼吸器の患者さんの場合は、
    日常的に緩下剤を飲んでいる人も多いです。


    自己管理している患者さんの常用薬を、
    看護師として全て把握できてない場合もあると思います。


    「下痢をしているのにずっと緩下剤を飲み続けている」


    といったことが起こらないように、
    細やかな看護をしていきましょう




    以上が副作用まとめと看護です。


    もちろん副作用はこれだけではありませんが、
    私が今回調べて気になったものをまとめました。


    より詳細は製品ページで自己学習されてくださいね。
    https://www.msdconnect.jp/products/keytruda/attention.xhtml

    オプジーボ VS キイトルーダ



    今回キイトルーダについて色々調べたので、
    同じ作用のオプジーボとの違いにも注目してみました。


    分かりやすく表にまとめます。

    【製品概要による違い】

    キイトルーダ
    オプジーボ
    ペンブロリズマブ
    一般名
    ニボルマブ
    MSD
    社名
    小野薬品工業
    2017年2月
    発売
    2014年9月
    20mg 1V 約7.5万円
    100mg 1V 約35.5万円
    価格
    20mg 1V 約8.5万円
    100mg 1V 約41万円
    悪性黒色腫
    PD-L1陽性の非小細胞肺がん

    適応

    悪性黒色腫
    非小細胞肺がん
    腎細胞がん
    古典的ホジキンリンパ腫

    (2017年2月時点)

    【非小細胞肺がんに使用する場合の違い】

    キイトルーダ
    オプジーボ
    PD-L1陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん
    適応
    根治切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん
    使用可能
    1st line
    使用不可
    1st lineはPD-1発現率50%以上、化学療法後は1%以上で有効性が検証されている
    投与前のPD-L1発現率検査
    非扁平上皮がんではPD-L1発現率も確認するのが望ましい(投与は原則1%以上)
    1回200mgを3週間間隔で30分間かけて投与
    用法
    容量
    1回3㎎/kg(体重)を2週間間隔で投与
    約1400万円
    医療費
    (年間)
    体重によって変動

    (2017年2月時点)


    オプジーボとキイトルーダでは、
    まず適応となる疾患が異なります


    また一時期オプジーボは年間3500万円という価格でしたが、
    現在は減額されキイトルーダと相違ない価格になっています。


    それでも高額には変わりありませんが・・・


    あとこれは若干ネタになりますが、


    非小細胞肺がんに対して使用する場合、
    体重計算のオプジーボは年間の治療費に変動が生じます。


    簡単に言うと、


    体重が増えれば増える程、
    医療費も増えるという事ですね。


    高額療養費制度などもあり、
    患者さんの自己負担に差はありません。


    しかし医療費の視点から考えると、
    違った考え方もできるかもしれませんね。


    非小細胞性肺がんに使用する場合での大きな違いは、
    キイトルーダは「1st lineで使用可能」という点です。


    この点がまさに両者の発売時期や、
    適応の違いに繋がっています。


    キイトルーダの場合は、
    投与前にPD-L1の発現率検査が必要となります。


    この検査には2~3週間かかるとも言われており、
    その期間治療ができないとも考えられます。


    しかし確実にPD-L1発現率が50%以上の病態に対して投与していく事は、
    それなりの効果が期待できるのではないかと思います。


    なにより1st lineで使用できるというのは、
    オプジーボとの大きな違いであることに間違いありません。


    ただ進行性非小細胞肺がんは肺がん全体の30%程度であり、
    その中で1st lineの治療を考えていくことになります。


    EGFR遺伝子変異陽性やALK融合遺伝子変異陽性など、
    他の分子標的薬が第一選択薬になる点も使い分けられる事になりそうです。


    このように様々な事情はありますが・・・


    私たち看護師は投与される薬剤に対して正しい知識を持ち、
    患者さんが行う治療の質を高められるように努力するだけです。


    そのような視点を持ちながら知識を学び、
    現場で患者さんに還元していけると良いのではないでしょうか。


    上記の表は2017年2月の時点での相違点であり、
    今後も変化する可能性は大いにあります


    オプジーボは既に1万人以上の、
    非小細胞肺がん患者で使用されています。


    オプジーボは1st lienの適応はありませんが、
    様々な治験なども進んでおり今後適応が変わる事もあり得ます。


    キイトルーダに関しても、
    カルボプラチン+アリムタとの併用が承認されました。


    もともとキイトルーダの単独投与では
    奏効率は20%程度と言われていましたが、


    「キイトルーダ+カルボプラチン+アリムタ」という併用療法で、
    奏効率が55%に上がったという報告もあります。

    奏効率:がんの大きさが30%以上縮小した患者の割合



    キイトルーダの場合は投与前にPD-L1の検査が必要であり、
    ある意味この点はデメリットと言えます。


    しかしこの3剤で治療を行うとなれば、
    1次治療の非扁平上皮がんを対象とした場合は
    PD-L1の検査も必要なくなります


    以上の様に、


    抗がん剤は発売後もどんどん研究が進み
    それに伴って適応や治療方法も変化します。


    なので「どちらが良いか悪いか」という問題ではなく、
    増える治療の選択肢や医療の進歩に目を向ける必要があります


    そんな目まぐるしく進歩を続ける医療業界の中で、


    一人の看護師として患者さんに何ができるのか
    という事を常に考えていけたらよいのではないでしょうか。

    最後に



    今回は 「キイトルーダ」という、
    新たながん治療薬についてまとめてみました。


    製品情報だけでなく、私の経験なども踏まえて、
    看護の視点を多く盛り込んだ記事になっていると思います。


    「キイトルーダ」と「オプジーボ」は免疫細胞側のDP-1を阻害する薬ですが、
    腫瘍細胞側のPD-L1を阻害する薬も開発されていたりします。


    様々な薬剤の併用療法も研究が進んでいたりと、
    本当にがん治療は自分の知らない所で日々発展しているのだと気付きました。


    私はもう自分が「一生呼吸器専門の看護師」と決めていますので、
    呼吸療法や肺がん治療をメインに追いかけ続けようと思っています。


    その過程でこうして情報発信をしながら自分の理解を深めたり、
    読んでくれたり受け取ってくれた人のお役に立てたら嬉しく思います。


    また医療や看護に関する事だけでなく、


    仕事術モチベーション管理についても発信していることがありますので、
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